あぁ・・・なんかヤダ・・・。
しょうがないじゃん・・・・。
中澤さんにとって、平家さんは大切な友達。今はね・・。
だから、行かないでなんて言えない。
それなのに、ウジウジしてる自分がイヤだ。
誕生日の前日に、こんな虚しいの初めてかも。
そんな私の苛立ちがわかるのか、ハナちゃんもタロウくんも近付いて来ない。
あと少しで、日付が変わる。


――――がちゃ


玄関の開く音がした。
私は走って音のする方へ走った。

「中澤さん・・・」

「おっ、やっぱり居ったな吉澤」

「だって・・・」

「そんな情けない顔するなや。
 まだ今日は5分残ってるんやから」

「・・・・・」

中澤さんの顔を見たら、涙が出て止まらなくなっちゃった。
どうしたらいいんだろう・・・・。
必死に止めようとしたら、何も言わずに中澤さんが抱き締めてくれた。
そして、耳元で名前を呼んでくれる。私の好きな甘い声で。

「吉澤、誕生日おめでと」

「中澤さぁ〜ん・・・」

初めて中澤さんの前で泣いちゃった。
初めて一緒に迎える誕生日なのに。
情けないなぁ・・・。
でもね、これは嬉し涙なんですよ。









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