はあ、楽しかった。
今日はあたしの誕生日。
メンバーにいわってもらって、
そのあとアヤカとまいちんと食事行って。
プレゼントいっぱい抱えて、タクシーで帰宅。
うーん、いい身分だ。
もう日付も変わりそうだったから、
家族を起こさないようにそーっと中に入る。
ダイニングを通るといいにおいが…
あ…。
所狭しと並んだ料理とでっかいケーキ。
あたし、今日、早く帰るって言ってたっけ?
でもな…今日はおなかいっぱいだし、明日食うよ、ごめんねお母さん。
もう寝ようと自分の部屋へ向かう。
かばんをポーンと放り投げて、ばたんとベッドに倒れこん…
「ぐえ…」
「うわっ!!」
あたし、何か踏んだぞ?
慌てて布団をはがす。
「真希ちゃん!!」
そこにはごっちんが寝ていた。
「あ…よっすぃ〜、おかえりぃ」
「…なんで?」
「だって約束したから」
「え?…あああ!!」
そうだ…一週間前、あたし、約束したんだった…。
『おいしいケーキ食べたいな。真希ちゃん作ってよ』
『いいよー、作りに行っていい?』
『うん、来て来て。楽しみに帰ってくるからね』
「ごめん…遅くなっちゃった…」
「もしかして…忘れちゃってた?」
「…ごめん」
「そっか…」
そんな悲しそうな顔しないでよ…。
「メンバーとお祝いしてた?」
「うん…」
「アヤカたちと会ってた?」
「うん…」
「…」
「…」
「私、帰ったほうがよさそうだね…」
あたしの前を通りすごそうとするごっちんの腕をつかむ。
「待って」
「え?」
「今からじゃだめ?」
「今から?」
「うん、まだ日付変わってない」
時計はまさに23時59分で。
「ねえ、言って?」
「うん。誕生日おめでとう、よっすぃ〜」
「ありがと。ケーキ食べよ?」
約束守れなくてごめんね?
そう言ったら
「ぎりぎりセーフだよ?」
って。
そんなやさしいごっちんが大好きだと確認した誕生日の夜だった。