私は小さい頃から好きで好きで仕方ない人がいる。
いつも傍にいて、私を優しく包んでくれた。
今でも、あの頃の温もりを覚えてる。
私も今日で19歳になります。
初めて出逢った頃のあなたの年齢ですよ。
〜♪♪♪
「もしもし」
『あ、ひとみ?』
「どうしたの?」
『これからさ、出てこない?
みんなで誕生日お祝いしようって言ってるんだけど』
「ありがとう真希。
でも、誕生日は大切な人と過ごしたいから・・・ごめん」
『そっか・・・まだ忘れられないんだね』
「いつまでも、私の恋人だから」
『ん・・・じゃ、また。
お祝いの言葉は明日にでも言うから』
「うん」
親友の真希からの電話。
お祝いの言葉を言わないのは、私があの人の言葉を1番に聞きたいって知ってるから。
想いが通じたその日に遠くへ逝ってしまった。
でも、私の恋人は1人だけ。
ほら、こうやって頬を掠める風が伝えてくれるよ。
―――ひとみ、誕生日おめでとう―――
「ありがとう・・・・」
きっとね、こんな遠距離恋愛してる人は他にいないだろうね。
だけど、心はこんなにも近くにあるんだ。
昔のように、いつも傍にいてくれてるって感じるから。
だから寂しくなんかないんだ。
年に1度、この日にだけ呼ぶあなたの名前。
「裕ちゃん・・・」
見上げた星空に、あなたの微笑む顔が見えた気がした。