「じゃあねー、ばいばい、また明日ー」
メンバーがお祝いしてくれたあたしの誕生日。
でもね、足りないよ。
なにがって?
そこに君がいなかったから。
電話をしてみる。
「よしこぉ、誕生日おめでとうー」
なんて、あの柔らかい声で言われて、
あたしの想いは溢れちゃうんだ。
「真希ちゃぁん、あいたいよぉ」
「…私、今、名古屋だよ?」
「わかってる。でも会いたいの」
「明日、朝一番の新幹線で帰るから」
「うん…」
駄々っ子みたいだよな。
でも、どうしようもなく会いたくて
わがまま言いたくなって。
「東京帰ったら行くから、ね?」
「わかった。絶対だよ?」
あたし、今日で19歳だよね?
ありえないよな。
…
……
………
♪♪♪〜
『もしもし』
「…真希ちゃん?」
時計を見る。朝の4時じゃん…。
「なに? こんな時間に」
『あけて』
「へ?」
『今、マンションの前』
まじっすか!!
鍵を開けるより先にあたしが玄関まで下りてって。
「真希ちゃん!」
まだ真っ暗な中に立っていたごっちんを抱きしめた。
「なんで? これ、夢?」
「夢じゃないよ。帰ってきちゃった」
「帰ってきたって…今?」
「うん、タクシー飛ばしてね」
そういって云万円のカード領収書をひらひらさせるごっちん。
「ごめん…、なんか…」
「ううん、別にいいよ、私も会いたかったし」
「うん…」
「それにさ、なんかしゃくじゃない? 距離に負けて切なくなるのって」
「真希ちゃん、かっけー!!」
さらにぎゅうって抱きしめた。
あたしの部屋に入って、落ち着いて。
「…ねえ、真希ちゃん」
「ん?」
「マネージャーさんは?」
「…置いてきちゃった」
「置いてきちゃったって名古屋に?」
「うん。何も言わずに出てきちゃった」
「うそーー」
「朝一番で電話して謝る」
ごめんね、あたしのために。
あたしも一緒に謝るからね?
距離を越えて会いにきてくれたごっちんが嬉しかったから。
今度はあたしが君のために。