夜中の仕事も1年やって、やっと慣れてきた。
毎日があっという間に過ぎて行ったって感じ。
メンバーに言われるまで、明日が自分の誕生日だって忘れてたし。
思い出しちゃうと、1番大切な人からの連絡がないのは寂しいもので・・・。
私は部屋に戻ると、荷物を放り投げベッドにダイブした。
「あぁ・・・あと少しで12日かぁ・・・」
口に出して、更に寂しさが大きくなった。
こうなりゃ寝てしまえ!って思った時、鞄の中で音がする。
「ん・・・?電話?」
「もしもし」
『あ、吉澤か?』
「中澤さん!!」
『今な、家の前なんやけど出て来れる?』
「へっ!?あ、行きます!!」
『ん、じゃ待っとる』
私はその辺に投げてた上着を羽織ると、急いで外へ出た。
マンションの前には見た事ない車が止まってて、中から中澤さんが手を振っていた。
「この車は・・・・?」
「あぁ、レンタカーや。
自分のやと、最近マスコミが勘付いてるからな」
「そうなんですか」
「やっぱな、吉澤といる時くらい邪魔されたないんよ」
うわー・・・なんでこんな事さらっと言っちゃうの?
私なんか恥ずかしくて・・・絶対に顔は真っ赤だよ。断言できる。
「どした?はよ乗りな」
「は、はい」
「さてと、行くか」
「どこに行くんです?」
「着いてからのお楽しみ〜」
程なくして連れて来られたのは、何でもない河原。
車を降りると、中澤さんは大きなバスケットを片手に歩いて行った。
河原にシートを敷き、手招きで私を呼んでいる。
その姿がとても可愛く見えた。
「これ、どうしたんですか?」
「今日の為に準備しとったんよ」
「今日の為・・・?」
「ほら、グラス持って」
私は中澤さんからジュースの入ったグラスを手渡される。
中澤さんはそのまま腕時計を見つめてる。
「吉澤、19歳の誕生日おめでとう」
「え、あ・・はい、ありがとうございます」
カチンとグラスを合わせ、一口飲む。
「中澤さん、これって・・・」
「誰よりも先にお祝いしたかったんよ。
そしてな・・・その瞬間、一緒に居たかった」
「嬉しいです・・・」
「空見てみ?」
「うわぁ〜!!!!」
「キレイやろ?
東京かて、こんな場所はまだあるねん。
星空の下で、深夜パーティーなんて最高やね!」
「はいっ!!」
中澤さんに凭れて、ケーキを食べ何でもない話をした。
さっきまでの寂しさや、仕事の疲れなんてどっかいっちゃったよ。