何日たってもごっちんの意識は回復しなかった。
気管挿管の管は取れた。
輸血の点滴も取れた。
ＩＣＵから一般病棟にも戻った。
なのに、いつまでたっても意識が戻らない。
ドクターはあとは後藤さんの精神力と生命力にかけるしか…って言ってる。
ねえ、ごっちん。
そんなにあたしのところに戻ってくるのいやなの？
ごっちんはずっとあたしの親友で
あたしのこと好きでいてくれるって思ってたのにな…。
それはあたしの思い上がりだったんだね
あたしがそばにいるのに…
ここから出勤して、
ここに帰ってくるくらい一緒にいるのに
戻ってきてくれないんだもん…。
まるで、眠り姫みたいじゃん
いくら、よく寝るからって、
いつまで寝てるんだよ。
起きろよ、真希ちゃん。
…眠り姫？
王子様のキスがあれば起きるんだっけ？ あれって。
あたし、王子様になれる？
それからあたしは毎日のようにキスをした。
誰が見てようがかまわずに。
親友にする最初のキスは緊張したけれど
今じゃもうなれたものだ。
一時間に１００回はキスをする。
それを超えたときは、唇の感覚が変になったけど
それでごっちんが戻ってくるならそれでもいい。
娘。のメンバーとか、ハローのメンバーがお見舞いに来てくれても
その前でもキスした。
麻琴、妬くなよ？
まいちん、アヤカ、ごめんね？
でも、今はあたし、真希ちゃんのために生きていたい。
あといくつ、キスを重ねたら、あなたに会えるの？
今日、何回目のキスだろう。
数えてないや…。
きれいだな…
目を閉じたごっちんの顔…。
！！！！
ばちっとごっちんの目が開いて、
超至近距離で目があっちゃった。
「ご、ごめん、これは…」
慌てて、唇を離すあたしのくびを
ごっちんは静かに抱き寄せて。
「ただいま」
「…おかえり、会いたかった」
零れ落ちる涙が、ごっちんの顔の上にかかるけど許してね？
そしてまた唇を重ねて。
「いつの間に、私たち、こんな仲になったの？」
「ん？ ずーっと前から」
さあ、今日からは、本気のキスをしよう